ほのか、彼氏の親友と満員電車へ。意外なほど紳士的な剛史くん・・・1
2017/03/04
ほのか、彼氏の親友と満員電車へ。意外なほど紳士的な剛史くん・・・1 now!
ほのか、彼氏の親友と満員電車へ。意外なほど紳士的な剛史くん・・・2
やっぱり朝はキモチイイ。
学校までの電車通学は大変だけど、駅までの道の新鮮な空気を吸うと、今日も頑張ろうって気持ちになる。
「おっすー、ほのかちゃん」
「ぅ・・・、お、おはよ、剛史くん・・・」
私は、この人が苦手だ。
学校の同級生だったけど、今まで同じクラスになったこともないし、素行が悪いって友達から聞いていたこともあって、できれば関わりたくないって思ってた。
だけど、まさかカレシの友達だなんて。
先週、部活仲間の紹介からついに彼氏彼女の関係まで発展したヒロ。
初めて付き合う男のコで、まだ手を握るだけでドキドキする。
なのに、剛史くんは馴れ馴れしく、すぐに肩を抱こうとしてくる。
ヒロが「親友だ」って紹介してくれたから、あんまり邪見にすることもできない。
「ね、ねぇ。剛史くんって、彼女でもないコでもそうやって触ってくるの?」
言外に「触らないで」って意味を含めて問いかけるも。
「あ?別にたいしたことじゃねーじゃん?」
と、気にしていないようだ。
私がオクテすぎるだけなんだろうか。
心の奥底にもどかしい思いをしまい、仕方なく一緒に学校へ行く。
「しっかし、電車の混みっぷりハンパねーな」
そう。
この路線は、いつもぎゅうぎゅう詰めになる。
高校を決めるとき、電車通学のことなんて頭になくて。
このことを知っていたら、絶対歩いていける学校にしていたのに。
「ま、今日はほのかちゃんのことは俺が守るから、安心しろよな」
軽い調子で剛史くんがポーズを決めている。
この路線にも早く女性専用車両が導入されればいいのに。
「まもなく、3番線に電車が参ります。黄色い線の内側に下がって―――」
アナウンスが流れ、ホームに電車が滑り込んでくる。
大勢の人が溢れ出てくるが、それ以上の人が吸い込まれていく。
殺気立つサラリーマンの波に翻弄されながら乗り込むと、目の前に剛史くんが。
「大丈夫、ほのかちゃん?」
「・・・ん。大丈夫」
心配してくれるのはいいんだけど、これじゃ抱き合ってるみたい。
剛史くんの胸元に顔を押し付け、後ろからさらに乗り込んでこようとする人波に押され、胸まで押し付ける結果になってしまった。
チラリと剛史くんの顔を見上げると、なんでもない風に笑っている。
おっぱいが触れていることを気にしているのは私だけ?
「苦しくない?」
剛史くんがうまくスペースを作ってくれて、一人で乗っているより楽な体勢でいられる。
距離感が近くて苦手だと思っていたけど、意外に紳士的なのかも。
ヒロの親友だもん、やっぱり噂ほど悪い人じゃないのかも。